シン・治してなんぼ

痛みに特化した治療に携わっている医療関係。非常識はびこるネット情報の一時の安らぎになれるように書いていきます。

点滴を失敗された痛みが治らない!

 

リハビリテーションに訪れたクライアントの方。

元々は坐骨神経痛。最近はよくわからない痛み・しびれが出ています。

 

右下肢から右の脇腹にかけての痛みと違和感が主な痛み訴え。

???

坐骨神経痛なら右下肢に限局するはず。

なかなか良い感じにはまらず、難渋しておりました。

 

そして最近のこと。

先日、他の病院で点滴をすることになりました。

針を刺すと「あ、失敗したのでやり直します」と看護師から言われたそうです。

その後、別のところから点滴をしました。

すると、点滴を失敗したところがずっと痛くて治らない、刺したところの周辺まで痛いと訴えがありました。

 

針を刺した痛みですから、侵害受容性疼痛です。

しかも、点滴針。

すぐに治るはずです。

痛みが遷延するなんてことはほとんどありません。

 

やっと合点がいきました。

あー、これ脳の過活動です。

前頭葉の痛み回路、前帯状回などが過活動になっていると思われます。

急性痛なのに慢性痛症状が出ている。

こういう場合はストレス適応や精神疾患発達障害の場合があります。

この方はストレス適応でした。

 

話を聞いていると、ストレスに対して抑圧(ガマンしてしまう)する傾向が強いことが分かりました。

抑圧が強すぎると、ストレスが痛みとして身体に出現することがあります。

専門用語でいうと身体症状症(旧:身体表現性障害)です。

元々のストレス適応手段が抑圧メインだったため、強いストレス刺激が重なることで身体症状症が出やすいようです。

さらに前帯状回が過活動なため、侵害刺激の痛みも慢性化症状を呈しているようでした。

 

うちには臨床心理士がいないので、そちらの対応も少し考える必要があります。

いずれ今後の変化もお話します。

僕も抑圧傾向があり、多くの場合、下痢症状として表出されます。

 

ここで気を付ける必要があるのは、抑圧傾向の人ほど

「自分はそんなにストレスを受けていない」

と思い込んでいることです。

抑圧しているので、ストレスを受けていること自体を隠蔽します。

隠蔽しきれなくなると、身体の症状(痛みや下痢、嘔吐、めまいなど)が出現してきます。

 

抑圧という手段ももちろん必要です。

上司に叱責されて「この野郎!」って殴りかかるわけにはいかないですからね。

仕事を失う覚悟がなければ、ここで攻撃という適応手段は選ぶべきではありません。

このように抑圧自体は正常かつ必要な適応行動です。

行き過ぎると良くないという話です。

みなさんもストレスは適度に発散することをおススメいたします。

 

運動したり、おしゃべりしたり、あるいはスキンシップなどが効果があります。

ぜひみなさんも積極的にストレス適応していきましょう。