「○○は摂取しちゃダメ!」と「痛いから動かせないんです!」は同じこと
僕は東南アジアの水を飲むとまぁ大体お腹を下します。
以前カンボジアに行ったときは、現地の屋台の飲み物に入っていた氷だけで3日ほどひどい下痢になりました。観光どころじゃないです(苦笑)。
この時ばかりは某「スト○パ」のお世話になりました。「ス○ッパ」はホントに効きますよ。なんとか観光に回れました。
そんな雑菌だからの水ですが現地の人は全然平気です。人間の環境適応能力はなんて素晴らしいんでしょうか。
日常的に摂取しているから平気なんでしょう。そう考えると「身体に悪いからとらない」って全く逆のことをしてるんじゃないのかい?と疑問に思うわけです。
長いことSNSをやっていますが、ここ5年くらいずーっと「これはダメ!あれは危ない!ネタ」がはびこるインターネット。ネガティヴ情報の宝庫です。
これって人の健康をとても害しているなと思います。不安を煽ることは、それだけで害があります。
ノーシーボ効果というものがあります。
人の思い込みが身体に悪い影響を与えるという話です。
『ブアメードの血』という実験。
血液の3分の1を失うと人間は死ぬんだよ、と死刑囚に言い聞かせ、目隠し拘束の上足を切る。本人の血液に見せかけ、水がポタンポタンと落ちる音を聞かせ、「出血量が全体の3分の1に達した」と言うと実際は大した傷ではないのに死刑囚は死んでしまった、とか。
この話はノーシーボ効果の説明に必ずと言っていいほど出てきます。原出典を探していたら、どうも都市伝説的な話なようです。
ただし、いわゆるプラシーボ効果の反対となるノーシーボ効果は確かに存在します。
「身体に悪い!」と言われて、それを信じていると実際に害がないモノでも「害があるかのように身体の不調が起きる」ことがあります。
腰痛の人で「こうすると痛い」「この動きは危険」と思い込んでしまうと、それ行うと大して害がないのにひどい痛みが生じるということが実際にあります。
あるいは「こうすると痛い」が行き過ぎて「痛いから動かさない!」といった過剰な行動が出現します。
ノーシーボ効果もプラシーボ効果も、人間の認知・記憶のシステムの影響でこのような思い込みが生じやすいんです。
適切な情報を提供して、クライアントが自立できるように行動変容を促すことが医療者には求められます。
この「痛いから動かせない」という本人にとっては非常に真剣な思い込みをどうやって外していくのか。
そこにボディワーク・運動療法が必要になってきます。
どうすれば痛みが出ないのか、あるいはどの動きが痛みを引き起こしているのか。
これらを動作で評価できれば、その場で説明できて納得してもらえます。
初回評価で意識していることは
「どんな動きのクセが痛みを悪化させているのか」
「どこが弱くて今後の課題になるのか」
「課題をクリアすることで何が変化するのか」
を明確に伝えるようにしています。
しっかり説明する必要があります。情報がないとクライアントも何を頑張ればいいのかわからないからです。
思い込みを外すためのボディワーク・運動療法は痛み治療において必須です。
なぜボディワーク・運動療法が必要かと言うと
「動かすと痛いというノーシーボ状態から脱却させる」
これに尽きます。
徒手療法と組み合わせたら、最強です。
僕は訳あって徒手療法はほとんど使いません。
「認知行動療法的ボディワーク」が、僕が最も効果を出している手法だからです。
人の思考パターンを考えながら行動変容を促す、僕が考える最強の方法です。
「動かすと痛い」から脱却させることが治療の近道です。
意識して運動させてみると、また違った視点で見ることができますので是非試してみてください。