痛みがある方が安心する?
先日、クライアントと接していると
「せんせ、しびれがなくなってきちゃった…」
との発言。
おいおい、なくなって寂しいんですかい?と思ってしまいました。
感覚障害・運動麻痺を伴わないしびれってほとんどは筋痛です。
だからトリガーポイントが効くし、運動療法も効く。
神経圧迫があるなら一過性伝導障害レベルでも運動麻痺が生じるはず。いわゆる「足に力が入らない(明確な筋力低下)」「お風呂の温度がわからない(深部感覚障害)」「触っている感覚が鈍い(表在感覚低下)」
「神経が圧迫されて痛みが~しびれが~」の説明がいかに的を得ていないのかって話です。
運動麻痺もなく、感覚障害もないしびれは、ほとんどは筋痛です。いわゆるトリガーポイントの関連痛と同じ範囲に出ることがすごく多い。
生物医学モデルにとらわれすぎると本質を見失います。
生物医学的モデルとは「痛みは構造の破たんによって起きる」ということ。いわゆる「骨盤・背骨がゆがんでいる」とか「骨が神経を圧迫している」とか言われることです。
最近の研究ではヘルニアがあっても無症状だったり、ヘルニアがないのに痛み・しびれが起こることもあることがわかっています。
この不思議な現象を説明するために生物心理社会モデルが生まれました。
生物心理社会モデルとは「痛みには構造だけでなく、運動機能・感情・ストレス・対人関係の悩みなど様々な要因が複雑に絡み合って生じている」という考え方です。
骨盤・背骨のゆがみも一因かもしれないけど、他にも色々痛みの原因はあるよということが医学的にも言われてるようになってきたという歴史です。
身体表現性障害(今は身体症状症)という疾患があります。
自覚症状に見合う身体的異常や検査結果がないにもかかわらず、痛みや吐き気、しびれなど多くの身体的な症状が長い期間にわたって続くという特徴があります。
うつ病や統合失調症に併発することが多いとされていますが、仕事関係や対人関係のストレスで生じることがあることもわかっています。
ただし、身体症状症でも身体機能の低下、身体の使い方のクセで痛みのある部分に力学的なストレスがかかっていることも非常に多いです。そこはしっかり理学療法・リハビリテーションで改善する必要があります。それに伴って痛みがコントロールできるようになってくることもたくさんあります。
わたくし昔は「リハビリテーションなんてくそくらえ。治してなんぼ」とか言ってましたけど(今も治してなんぼとは思ってます)、痛みを勉強すればするほどもっとクライアントを身体だけでなく様々な視点で診る必要があるなと気づかされる毎日です。
PAIN NO FEARでがんばりましょう!