「脱力」の真実。
全国810万人の野球愛好者の方、どうもです。
今回は「脱力」について。最近感じたことをシェアしようと思います。
僕は野球をやったことは実はないのですが、頻繁にバットでの素振りをします。
はじめのうちは重くて重くて、10回振ると腕が疲れてしまいました。
でも、あるときからパタッと腕が疲れる感じがなくなったんですね。
ある日に振った時、「あ、力が要らないんだ!」ということに気づいたんです。
腕に力を入れない方が、スイングスピードが明らかに早いんですね。
ここまで読んで「じゃあ腕に力を入れずに振ればいいんだ!」と考えるのは早計です。
考えるべきは「力を抜けばいいんだ!」という気づきではなく「力が要らない」ということです。大事なことなので繰り返しますが、「腕の力が要らない」ようにスイングできれば良いんです。
そのために必要なのは、実は「体幹の強さ」とか「バランス」とか、色々な言い方をされる要素です。
いきなり「体幹の強さ」「バランス」と言われてもピンとこないと思いますので説明します。
スイングは物理的な現象です。バッターが力を発揮して、バットに円運動をさせているわけです。
じゃあその「力の出どころ」ってどこなのか、という話なんです。
体幹や足で十分な力が発揮できていれば、腕が力を発揮する必要はないんです。
逆に言えば「体幹や足で力が足りてないから、腕に力が入ってしまう」ということです。
これは野球のスイングだけでなく、ピッチングやスローイング、フィールディングにも同じことが言えます。
たとえばピッチングならボールを投げる瞬間の姿勢、いわゆるランジ動作でのバランスが重要になってきますし、その姿勢を安定させる筋力・可動域が不可欠です。
内野守備なら姿勢が崩れたところからの送球も同じです。崩れた姿勢でいかにバランスをとって安定させて投げられるか。
いわゆる「才能」とか「技術」と呼ばれるモノの基礎的な一面を担っているのが、姿勢を安定させる力です。
「バランス」と聞くとなんとなく脱力して衝撃を受け流すように感じると思います。
「体幹の強さ」と聞くとなんとなく、ガチっと固めて衝撃を跳ね返すように感じると思います。
でも、実際に安定している身体というのは「バランス・体感の強さが共存」していて「強い衝撃も受け流して身体を安定させ続けられる」なんです。
スポーツをするのに体幹の強さは必須ですし、スポーツレベルの身体の強さがあれば日常生活で疲労することもほとんどありません。
スポーツの才能、根本的な身体の強さはどの競技でも同じです。例えば相撲とフィギュアスケートでも同じですし、ダンスとパワーリフティングでも同じです。
名選手と呼ばれる一流のアスリートほど、基礎力を上げるということを恐ろしいほど徹底的にやっています。
基礎的な力が絶対的なベースになることをわかっているんですよ。
「脱力」の真実は裏面にある「身体の強さ、安定感」の要素が深くかかわっているというお話でした。スポーツってホント楽しいですね。
肩甲骨を張り付かせろ!
腕が上がらない、なんとなく肩こり、だるさが抜けないみなさん、どうもです。
肩関節周囲炎、いわゆる五十肩な人で治りが悪い人っているんです。
そういう人ほど、肩甲骨が肋骨に対して浮いてます。
肩甲骨を止めておく力が弱って、あらゆる動作で肩甲骨が肋骨から浮いたままになってしまうんです。
肩甲骨が浮くと、肩甲骨自体が不安定になり、肩に余計に力が入ってしまい痛みや動きの制限につながってきます。
簡単に言えば、肩甲骨を肋骨に張り付けられるようになればよくなっていくんですが、これがなかなかな作業です。
人によって比較的安定させられる動きが全く異なるので、なかなか難儀します。
そして、うまくできないほど、いくら動かしても「全然問題ありません」「楽です」と連呼します。本当に効くと腕がプルプルしたり一気に汗が噴き出てくるはずなんですね。
どこに行ってもダメな人って、実はこういった「間違った動きのクセで凝り固まっている」ことが非常に多いです。
一見問題なくできているように見えて、実は全然できていない。だからみかけの正常っぽい感じにだまされて、セラピスト自身もどこが悪いのかわからなくなる。悪循環です。
運動をさせてみて全く問題なさそうでも、「気づいていない問題があるだけだ」ということを頭の片隅に置いています。
そうでなければ、どこに行ってもダメだった人とまともに向き合えません。やれることをやりきった上で、ダメな時にこそ心因性を疑うべきです。まあその前に生活習慣だとか色々なものを考える必要あるんですけども…。
肩甲骨を安定させれば、肩は良くなります。
できない人のために、僕らの仕事はありますよ。
あきらめずにがんばってみませんか?
慢性痛と「うつ」の関係。
全国1700万人の慢性痛持ちの方、どうもです。
慢性痛の方と話していると、「うつっぽいなぁ」と思うことがけっこうあります。
これは決して「うつ病である」という意味ではなく、抑うつ気分と考えます。
やる気が起きない、気分が落ち込む、頭が働かない、行動に移せない。これらが抑うつ気分の症状と言われています(Wikipedia参照)。精神的に落ち込んでいる方は話している時のキーワードとして「痛くてやる気が出ない、痛くて気分が落ち込む、痛くて行動できない。」といったものがよく出てきます。
痛みそのものによって、抑うつ気分が作られてしまうんです。
この症状は脳のイメージング研究(fMRIなどによる脳の活動検査)によってわかっています。
うつ病の場合、背外側前頭前野(DLPFC)という部分の血流が低下することがわかっています。
対して、慢性痛の場合も背外側前頭前野(DLPFC)の活動低下、容積減少が報告されています。
慢性痛のある状態とは、脳にとってはまさしく「うつ状態」なんです。
慢性痛の治療では「認知行動療法」という心理療法の分野の治療が非常に効果があることがわかっています。
これは上で話したように、慢性痛の脳は「うつ状態」だからにほかなりません。だから心理療法が効果があるんですね。
痛い部分に原因があると思い込んでしまうケースも多々あるんですが、実際に脳が痛みを作るとテレビでしきりに言っている意味はここにあります。
慢性痛の脳は活動量が低下している状態ですから、脳を活性化させることで痛みを軽減させられます。
脳を活性化させる最も簡単な方法は、「行動する」「動く」ということなんですね。ぶっちゃけ言えば、脳トレするより歩く方が脳にとっては良いんですね。
運動による鎮痛効果は軽度の運動、ウォーキングなどでも効果があることが分かっています。運動習慣をつけることで痛みは確実に減ります。
地道に続けることで自信をつけることで痛みは減ります。
不思議ですが、ホントの話です。
運動は痛みを感じにくくさせるんだって。
全国1700万人の慢性痛持ちの方、どうもです。
日本では「痛み=整体や鍼、マッサージ」といった受け身治療が中心となってきました。僕がいる理学療法業界でも「痛み=徒手療法」と考える人が多いです。
これは世界的に見るとあまり常識的ではありません。2000年に入ってから様々な慢性痛のガイドラインが公表されてきました。基本的に推奨されるのは運動で受け身治療は最小限に留めた方が良いという考えが主流です。
運動そのものが痛みの感受性を低下させる、という研究結果がいくつか出ています。痛くない場所を動かすだけでも、痛みを減らす効果が出るようです。また、痛い所を動かしても痛みを減らす効果はほとんどみられなかったそうです。
先日こられた80代女性の方、左の外くるぶし痛。診断名は「変形性足関節症」
背骨の運動療法を指導して次の来院では「まだ痛いけどずいぶん痛みが減ってきた」とおっしゃっていました。
基本的に痛みのある方は背骨を中心とした動作が下手になっています。背骨とは身体の中心です。身体の中心に力が入らないと、末端に負担がかかってきます。
痛くない場所を動かすことによる鎮痛効果とともに、背骨の動きを改善することで負担がかからない身体を作っていく。運動で痛みを減らす仕組みです。
というわけで、慢性痛の場合は痛い所にこだわりすぎずに全身運動のウォーキングやストレッチが自分でやるには良いですよ。
僕ら理学療法士が個別に評価して指導する「管理された運動療法」「スーパーバイズドエクササイズ」は痛み治療においては最も推奨される「エビデンスグレードA」になっています。
痛みは整体でなくエクササイズで良くなる
僕は理学療法士として、ペインクリニックでリハビリテーションを行っています。
そもそもどういう仕事なのか。
基本的に運動をしてもらっています。痛みに対して運動?と思う方もいると思います。
今日はそのへんのお話をしようかと。
痛みのアプローチ=徒手療法・整体という認識が日本では常識ですが、ヨーロッパやアメリカでは非常識です。
実は、世界的に慢性痛の効果が認められているのは、整体手技ではなく「運動」なんです。どの国の診療ガイドライン(医療関係者が参考にする研究データベース)でも、運動は痛みへの有効性が書かれており、逆に整体手技に関しては「やってもいいけど、回数を決めて短くお願いね」と書かれています。
日本は伝統的に鍼や整体が盛んですし、鍼灸師や柔道整復師など国家資格としても定められてます。理学療法の分野にも徒手療法学会が強い力を持っています。
そういう事情もあって「痛み=体を動かす」ではなく「痛み=受け身治療」というイメージがあまり浸透していません。
科学的根拠に基づいた痛み治療は、基本はセルフメディケーション、自分で痛みと向き合って治療していく、です。
医療者はそのサポートとして存在する。この考え方が基本になっています。
痛みとの向き合い方、身体との向き合い方を教えるのが僕らのお仕事なんですね。
僕のアプローチは痛みがある方だけでなく、予防やアンチエイジング、スポーツを長く楽しみたい、と考える方にも非常に有効です。
背骨の潜在力を引き出して、無理なく体を動かすことで筋トレやスポーツをしていなくても身体の機能は保てます。
先日は、そういったお話を埼玉でさせていただきました。
なかなか好評で「こういったメニューを受けたい!」とのご要望もいただいて、本当にありがたいです。
今年中には準備をしていきたいと思いますので、もう少々お待ちいただければと思います。
「痛みには運動!」全国に広げていきますね。
「○○するべき」に縛られてしまう
ぎっくり腰を早く痛みを減らす方法 その1~腰椎硬膜外ブロック~
どうも、身体を哲学する男、ヨシバです。
今日の話題はぎっくり腰です。
僕自身も何度もぎっくり腰をしたことがあります。あれ、けっこう辛いですよ。初めてなった瞬間がまたなんともかっこわるいんで言いたくないんですが…。
聞きたいですか?
聞きたくなくても言いますね。
四つ這いでコンセントからプラグを抜こうとしてなりました。
・・・
・・・・・・
はい、かっこ悪いですね。でもなったことがある人に話すと「わかるわー!」ってなります。
僕の務めるクリニックにも、よく来院されます。ペインクリニックなのにぎっくり腰?と思われるかもしれませんが。うちにぎっくり腰の方が来るのは、主に整形外科も標榜しているからってのもありますけどね。
実はぎっくり腰にはペインクリニックで行われる「腰椎硬膜外ブロック」がかなり効きます。
ただし、この「効く」は僕個人の感想・印象であって科学的根拠が必ずしもあるわけではないので、そのあたりはご注意ください。
どのくらい効くかと言うと、初発(初めてぎっくり腰になりましたの方)であれば6割くらいはその場で痛みが1/10くらいになります。残りの4割も2日くらいでほぼ1/10になります。
これって結構すごいことです。でも、ぎっくり腰を繰り返している人には効き目がだんだん落ちてきます。効かないわけではないですよ。
大体は「急激な痛みはとれたけど、慢性的な痛みは残ってる」と言います。
つまりはですよ、この「腰椎硬膜外ブロック」は、急性期の痛みにはめっちゃ効きますが、慢性的な痛みに対しては効果が限定的と言えます。
うちのクリニックでは多くの場合、リハオーダーが一緒に出るので、主に生活上の注意点と簡単な運動指導をして初回で終了になることが多いです。慢性的に繰り返している方には継続して対応します。
なぜ初回で終わるかと言えば、いわゆるぎっくり腰、医学用語では「急性期の非特異性腰痛」と言います。こいつに関しては、「90%が6週間以内に軽快する」要するに9割の人は1か月半以内に何もしなくても治りますよ、ということです。
このブログでは繰り返していますが、「無理のない範囲で運動したほうが痛みは早く良くなる」ので、リハビリテーションオーダーが出た場合は、この説明をまずします。その後、屈んで痛いのか、反って痛いのかなど、身体の状況をみて運動指導をして終了です。
ハッキリ言って、同じ5000円払うなら整体で当たりはずれのある施術を受けるよりも、リスクも少なく効果があると思いますね。
今日はこんな感じです。運動も大事なのでそういった話も今後しようと思います。